SNSの"危険性"を「アマチュア無線」と比較して考える
「高校に入ったら、アマチュア無線をやってみたい」
中学2年生の娘が、先日こう言い出しました。
「ずいぶん昭和な香り漂うアイテムを持ち出してきたな」と思ったら、どうやら最近見たテレビ番組の影響みたい。「受験が無事終わって、高校生になってから」と自分を律しているのが、わが子ながらいじましい。
「よし、お前の高校が決まったら調べてみよう」と答えつつ、ふと心配が1つ。
「不特定多数とつながる」という意味では、SNSなどと一緒。
未成年のアマチュア無線家には、ネットと同じような危険性はないのでしょうか。
「趣味の王様」アマチュア無線
ぼくが子どもだった昭和の終わりごろ、アマチュア無線(「ハム」とも言いますね)は
「趣味の王様」
というような立ち位置でした(「鉄道模型」や「切手収集」が王様だと主張する人もいらっしゃいそうですが)。
子どもなんて、たまに行く旅行を除けば、世界の広さはせいぜい半径2~3Km。でもアマチュア無線は、そんな垣根を軽々と乗り越え、日本中、いや世界中の愛好家と交信できる。そんなスケールのデカさに憧れるんです。
あの伝説的刑事ドラマ『太陽にほえろ!』でも確か、アマチュア無線が犯人逮捕に一役買ったなんてストーリーがあったのを覚えています。
そして、アマチュア無線を「憧れ」たらしめるもう1つの要因が、グレードの高さ。
非営利とはいえ無線局を開くわけですから、国家試験にパスするなどして免許を取得しなければなりません。
さらには、決して安くない(というか、かなり高価な)無線機やアンテナも必要。
そんな、中途半端なやる気ではうかつに近寄りがたい雰囲気も、まさに「王様」なんですよね。
でも人気は下り坂
そんなアマチュア無線、あまり目立たないなと思い調べてみたら、ああ、やっぱり。
こちらのサイト⇩から引用させていただきます。
国内の「アマチュア無線局数」のグラフ(2006年4月末~19年12月末)です。
ご覧の通りみごとな右肩下がり。東日本大震災の発生時に大活躍したためいったん横ばいになったものの、その後再び減少傾向へ。
ピークだった1995年3月末(このグラフにはありませんが)の136万4316局に対し、2019年12月末時点では40万2119局。なんと3割を切りました。
なぜアマチュア無線人気は下火に?
これは間違いなく、
インターネットの普及・発達が理由でしょうね。
見ず知らずの人とつながりたければ、まずはSNS。さらには出会い系のアプリなどもある。直接話がしたければSkypeなどを使えば良い。
ネット利用はぶっちゃけアマチュア無線よりずっと手軽だし、なにより専用の機器などいらないから、お金もかからない。
アマチュア無線のありがたみが、すっかり薄れてしまいました。
愛好家は、無線特有のあのノイズなどがなくて、寂しく思うんでしょうね。
あとネットの進歩って、話したことのない人と初めてコンタクトを取るときのドキドキ感みたいなものを、なんだか消し去ってしまったような気がします。
SNSより未成年には安心か
ではいよいよ、きょういちばん追究したいテーマ。
今の時代、女の子の親を務めるのは、ほんと気が気じゃありません。
女子中高生狙いの不埒なヤツら(変態め!)が、ネットという最新の飛び道具でアプローチをかけてきやがりますから。
ウチの子にはまだスマホを持たせていないんですが(友達とLINEしたりするときは、家にある古いiPadを使っています)、高校に進めばさすがにそうもいかないでしょう。
"わるいやつら"が潜んでいる可能性があるのは、ネットもアマチュア無線も同じはず。
でも後者のほうが、はるかに安心感がありますよね。なぜなら……
画像その他が送れない
女の子狙いの良からぬヤカラが、アマチュア無線で
「✖✖ちゃんの下着姿が見たいな。俺を信用してるんなら、自撮って送ってよ」
みたいな猫撫で声を出してきても、言われたほうはそのまま画像をアップロードすることはできません。だからネット空間にばらまかれる心配もない。
素性がバレる
下心十分の相手が言葉巧みに誘ってきて、直接会うことになったとします。
このときも、アマチュア無線のほうが安心度は高い。
というのは、コールサインその他によって、相手の素性がわかるから。偽名を使った正体不明のヤツといきなり会うのとは、わけが違います。これは歯止めになる。
つまるところ、こうしたアマチュア無線が持つ「安心材料」を、未成年がネットを利用するときは叩き込むことが大切ですね。
よく知らない相手には、画像など送らない。
話が弾んでも、2人だけで会うことはしない。
う~ん、当たり前すぎる結論になってしまいました……。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
次回の『小骨チェーサー』もぜひ読みにいらしてください。