実は意味なかった? 菅原一秀"前"大臣が贈ったカニやメロン
経済産業相でいられたのは、たったの45日でしたね、菅原一秀氏。
ツイッターで“フライング報告”するほど、大臣就任を喜んでいたのに。
“大臣キラー”週刊文春などが報じるには、自分の選挙区の有権者にカニやらメロンやらを贈り、果てには大臣就任後にも支援者の通夜に香典を出したといいます。
菅官房長官の側近として知られる菅原氏。大臣にプッシュしたのも、もう持たないと判断したのも、令和おじさんだったと考えるのが自然です。
というような今回の騒動ですが、ぼくにはちょっと腑に落ちないことがあります。
練馬ってそんなに田舎?
政治家が票に期待して、メロンなどの品々を贈るとしたら、どういう有権者を相手に選ぶだろう?
一般論で考えると、土地の顔役とか有力者ですよね。
つまり、1人を厚くもてなせば、その人が親戚や子分などに言い含めてくれて、何十何百もの票が期待できる存在。
そうじゃないと、高給取りの国会議員とはいえ、いくらお金があっても足りない。
そして、そういう行為が実を結びそうなのは、当然都会よりも地方(ぶっちゃけ田舎)ということになります。先祖代々ずっとその土地で暮らしている人が有権者で、住民の入れ替わりがほとんどない、というようなエリア。
ところが菅原氏の地元は、東京9区。全域が練馬区です。東京23区なんですよ。
この選挙区の有権者数は約47万人。その大部分はたぶん、ベッドタウンになってからの練馬区に移り住んだ人なのではないでしょうか。
縁あってぼくは練馬区に明るいのですが、まあ確かに大泉学園とか光が丘とかは、駅からちょっと歩けば畑が広がります。
なので古くからの地主さんも結構いるんでしょうけど、そういう方1人の力が、畑の隣に建つマンションの住民何人もの票に結びつくとは、ちょっと考えにくい。
要するに、せっかくのカニやメロンも、大した効果(彼らにとっての)はなかったんじゃないかと思うんです。
『正攻法』じゃダメだったのか
もう何年も前のことですが、ぼくの仲間が菅原氏を取材したことがあります。彼はすでに当選数回のベテランでした。
でも毎日のように駅前に立って、道行く人に主張を訴える。周りのスタッフやぼくらメディアにも偉ぶらない。
いや、かばっているわけではありません。
そういう姿勢があるんだから、贈り物なんて姑息な手段を取らず、『正攻法』で十分選挙を戦えるじゃないか、ということです。
ほかの方法を知らなかった?
以下、ぼくの想像。
公式プロフィールによると、菅原氏の政治家人生のスタートは、1991年4月の練馬区議会議員初当選です。
当時の練馬区と言えば、都営大江戸線は未開通(この年12月に一部開業)、西武池袋線もまだ高架化されていません。今よりずっと田園色が豊かだったのでしょう。
そうしたころに刷り込まれた有権者対策、それをいまだに続けている……。
そんな風に、ぼくは背景を考えてみました。
実際はどうなんだろう?
陛下は内心どう感じられている?
菅原氏が大臣を辞任した日の午後、後任がさっそく就任しました。
こういうドタバタ劇のたびに思うのですが、認証式って、大臣交代のときに限り簡略化できないものですかね?
だって、1ヵ月半前にやったばかりですよ。
陛下も内心、「またですか」と感じておられないでしょうか。