マラソンは札幌で…IOCの“暴君”ぶり、五輪招致レースにどう響く?
いや~、本当に札幌へ移っちゃいましたね、東京五輪のマラソンと競歩。
都や陸連の関係者もほんと悔しいでしょうけど、忘れちゃならないのが都内の小中学生たち。大人の都民が五輪にどこか冷めた目を向けている一方、子どもたちは学校でいろいろ勉強したりして、けっこう楽しみにしていますから。
正式に決定したときの四者協議で小池都知事が、
「合意なき決定」
と表現していたけど、あれはそんなみんなの気持ちを、みごと代弁していますよね。
ぼくは小池百合子って政治家、個人的には好きじゃないのですが、これはウマいこと言ったなと思っています。
あれで来年7月予定の都知事選、小池さん再選の可能性ってかなり高くなってきたんじゃないかな。
東京五輪を、ホストシティのガバナーとして迎えられますね。
土壇場変更の嵐
それにしても東京五輪、突然ちゃぶ台をひっくり返すパターンが止まりません。
騒動になったものだけでも
- エンブレム 当初案に盗作疑惑、再公募
- 新国立競技場 工期と費用の問題で、当初案を白紙撤回
- カヌー・スラローム会場 当初案に費用の問題が浮上
などがありました。このうちエンブレムと新競技場は、紆余曲折の末、元々の案とは違うものになっています。
まあこういうドタバタって、どこの国のオリンピックでも多かれ少なかれ起きるものです。あれだけの国家的プロジェクトとなると、いろんな分野のオトナの思惑が、たくさんたくさん絡みますからね。一筋縄で行くほうが珍しいのでしょう。
どうなる? 今後の招致レース
さて今回のマラソン・競歩会場変更騒ぎで、ぼくが興味を持っているのは、これからの夏季五輪招致において、各国各都市がどう動くのか、ということ。
東京の次は、2024年パリ、2028年ロサンゼルスが決まっていますが、その後の招致レースにきっと影響が出てくると思うんです。
立候補都市が限定される?
超ビッグな放映権料を払っているアメリカのテレビ局のため、夏季五輪の7・8月開催は動かない、というのはもはや定説。
となると、真夏にマラソンを走っても負担の少ない都市しかオリンピックは開けないということになりますよね。
ここで基準となるのは、東京のデータ。とりあえず、今年8月のものを気象庁のサイト
で見たところ
- 月平均気温 28.4℃
- 月平均最高気温 32.8℃
なので、これより暑い8月を過ごしている都市で、夏季五輪のマラソンと競歩が戦われたらおかしい。すると……
まず、赤道付近に位置する国々は、概ね無理ですね。
このエリアには発展途上国が多く、55年前の日本のように、オリンピックを開催することで経済成長を図りたいと考えるところもあると思うのですが、なかなか難しい。
2032年の夏季五輪には、インドネシアが正式に立候補を表明、インドも目指しているのですが、たとえば両国の首都のジャカルタもニューデリーも、2019年8月の気温は、東京並みか東京より高い。今回の一件をもってすれば、招致レースに大きなハンデを背負うということです。
一方、これまでに開催実績のある都市でも、アトランタ(米国)やアテネ(ギリシャ)の8月が東京を上回っています。もう2度と立候補できない?
立候補を躊躇する都市が続出する?
そもそも、立候補にはそれなりの覚悟が必要ですよね、こうなると。
だって、一度決まったことを、いつ、どんな理由でひっくり返すかわかりませんよ、あの世界に名だたる利権組織、IOCってところは。
まるで暴君だ。
いつの年か8月に、たとえばeスポーツの世界大会か何かが開催され、それをアメリカのテレビ局が連日放送することになったら……。
IOCはいきなり「次の夏季五輪は9月に」なんて言い出しかねない。
「やはり8月は暑すぎて、アスリートファーストではない」とか理由をつけて。
大阪・名古屋はどうする?
日本の夏季五輪は結局、2回とも東京。
過去には名古屋と大阪が立候補しましたが、ともに投票で敗れました。
両都市の関係者は今も、「いつかはオリンピックを開催したい」と考えているのかな?
仮に招致の手を挙げるなら、今回のマラソン・競歩会場問題を考慮に入れておいたほうがいい気がします。
この際、最初から「両競技は別都市で開催」と、計画に盛り込むのはどうでしょう。
その場合、名古屋だったら、愛知県に隣接する長野県がベストですよね。
大阪ならどこがいいだろう……結局、札幌?