『としまえん』が『ハリポタ』に……日本中から「昭和」が消える
昭和の薫(かお)りが、また一つ消えてゆく
そんなニュースだと受け止めました。
東京の老舗遊園地『としまえん』。
「豊島区ではなく練馬区にあってもとしまえん」なんて、有名過ぎてクイズにもならないくらい。
そのとしまえんが閉鎖され、代わりに『ハリー・ポッター』のテーマパークができるというのですから、ちょっとした話題になっています。
関東ローカルのニュースではありますが、こういう事態ってたぶん、これから全国的にどんどん起きてきそうです。
東京を代表する"老舗遊園地"
『としまえん』は1926年(大正15年)開園の、長い歴史を誇る遊園地。
東京23区内で昭和以前からある遊園地と言ったら、 『浅草花やしき』と『あらかわ遊園』(2020年現在閉園中)、それに『後楽園ゆうえんち』(現『東京ドームシティアトラクションズ』)くらいです。
そんな『としまえん』。『フライングパイレーツ』などの名物アトラクションもありますが、どちらかというと絶叫系マシンを楽しみに行く感じではありません。
「水と緑の遊園地」というキャッチフレーズの通り、豊かな自然の中で羽を伸ばすというタイプの遊び場です。
ただし、プールは有名。今やどこにでも当たり前にある「流れるプール」は、『としまえん』が発祥だといいます。
そしてここのプールは、関東以外の方でもよく目にしているはずです。というのも、「夏休み初日」とか、「猛暑日」とかのニュースで登場するプールは、ここが定番だから。
これには理由があって、広報担当の方がとても慣れていて、取材をお願いするとすぐに対応してくれるためです。
「避難場所」+「ハリポタのテーマパーク」に
その『としまえん』に突如浮上した「閉園へ」のニュース。各種情報を整理すると……
- 現在西武グループが運営しているが、段階的に閉鎖
- 跡地の大半は東京都が購入、災害時の避難場所を兼ねた公園に
- 残りの土地に「ワーナー・ブラザース」が、『ハリー・ポッター』のテーマパークを、2023年オープン目指して建設
の「方向で話が進められている」ということです。
『としまえん』は練馬区の中心、練馬駅の北側に位置しているんですが、確かにあの周辺は、昔ながらの住宅が密集する地域。
避難場所の確保が必要なことは納得です。個人的には。
それはいいとして……
う~ん、ハリー・ポッターかあ。
USJにありますよね。関西の皆さん、どうなんですか?
なんか、旬を過ぎているような気もするけど。
昭和は遠くなりにけり
大正生まれで、昭和時代をマルッと生きてきた『としまえん』は、ノスタルジーを色濃く残している遊園地です。
まず、交通手段。
地下鉄や車でも行けるとはいえ、メインのアクセスルートは『西武豊島線』。
西武池袋線の支線なんですが、なんと単線です。
マニア(?)が撮った動画。
東京23区内の旅客営業路線で単線なのは、ほかには京成金町線と、東武大師線だけらしい。
そして『豊島園』(駅名は漢字)の駅に着いてみると
これがまた、レトロなんだな。
よく言えば庶民的、悪く言えば"最果て感"が漂います。
ディズニーランドが顕著ですが、遊園地ってゲートを一歩くぐると、そこに広がるのは「非日常」というのが当たり前。
でも『としまえん』は、どこか違います。
日常の延長線上で入り込んでいくというか……極端に言えば、ジャージにサンダル履きのまま足を踏み入れられるという感覚。
そもそも特別に仕切られた用地にあるというイメージがなく、住宅街の隣にさりげなくありますからね。
そんな昭和っぽい、気軽にふらっと行ける雰囲気は、ハリー・ポッターのテーマパークに生まれ変わったら、失われるでしょうね。
そして同じようなことが、「ビジネスとして成功させる」という名目のもと、日本中の施設で、次々と起こるでしょうね。
時代の流れ。仕方のないことだとは思いますが。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回の『小骨チェーサー』もぜひ読みにいらしてください。