ブログを始める心境を書くのに『土佐日記』を持ち出したワケ
1000年以上前の平安文学風に気取って言えば、こんな心境。
「男も女もすなるブログといふものを、IT音痴もしてみむとしてするなり」
- なぜここで『土佐日記』を持ち出したくなったのか
- ブログを始めるのは「お仕事の幅を広げるため」
さっそくですが冒頭の一文。ご存知、土佐日記の書き出しのもじりです。
男もすなる日記といふものを 女もしてみむとしてするなり
紀貫之(きのつらゆき)という平安時代の官僚が、赴任先の高知から京都へ帰任するときの道中日記。中学校ぐらいの国語の授業で習った記憶があります。
なぜ誰にでも身近な一文なのか
「誰にでも身近」と言えそうな一文なので、確認してみました。
この文が、それほど多くの教科書に採用されるだけの特徴とは何か。
まずは、男性である作者・紀貫之が、自分を女性に見立てて書いたという特殊なシチュエーション。これはよく知られていますよね。
もう1つが、文法的特筆事項です。
「す(動詞)」+「なり(助動詞)」の組み合わせが2回出てくる……「男もすなる」の「すなる」と、文末の「するなり」……のに、それぞれで意味が違う。
ポイントは助動詞「なり」のほう。実はこの単語には
- 「~という」「~だそうだ」
- 「~である」
という2つの意味があって、1は「終止形」に、2は「体言」とか「連体形」に付くのがルール。「すなる」は前が終止形の「す」だから「するという」の意味、「するなり」は連体形の「する」に付いているから「するのである」となる理屈。
こうしてみると、古文の授業にはもってこいの題材。
だから中学生以上の日本人なら誰でも、どこかで耳にしたことがあるんです。
それはさておき。
では、なぜぼくは、ブログを始めようと思ったか。
やってる人、多いもんなあ……
これはもちろんあります。ネットで調べ物をしていたら、答えはどなたかのブログにあったなんて、いまや日常茶飯事。
ただぼくには、個人的な理由があって……
仕事の幅を広げておいたほうがいいよな
なんてことを考えたのでした。
ネットで発信するためのウォーミングアップ
私事ですが、ぼくはメディア業界の片隅で長く禄を食んできました。ニュースの深掘りとか、注目の話題とか、映像の解説とか、まあそういうものを書くことで生きてきたわけですが、ウェブのお仕事にかかわったことは、ごく僅かしかありません。
その僅かにしても、ぼくの役割は、取材してきたものを文章にするだけ。ネットに上げるための体裁を整える作業などは、すべて同僚任せ。SEOだとか何だとか、ぼくとしてはまるでノーケアでした。
ネット全盛の時代、こんなことじゃいけねえな
ネットで発信することに慣れる、という目的に、ブログはぴったりそうです。
お金だってかからないし。
それにしてもブログって、どう書けばいいんだ……?
その研究成果は、次回。