雪不足も!? ゲレンデが消えてゆく……バブルは遠くなりにけり
長野市のあるスキー場が、この冬いっぱいで廃止になると報じられました。
いかにもローカルな話題が全国ニュースになったのは、このゲレンデが、日本人にとって忘れがたい出来事の舞台だったから。
そしてここの閉鎖は、おそらく氷山の一角に過ぎません。
経済の変化、気候の変化が、スキー場の命運を大きく左右してしまうのです。
「感動の金メダル」の舞台
いよいよ2020年。東京オリンピックの年です。
その前、最後に日本で行われた五輪の開催地はど~こだ?
はい、1998年の長野ですね。
あのオリンピックでニッポンは、合わせて5つの金メダルを獲得しています。そのうちの1つが、スキー・フリースタイル、女子モーグルの里谷多英選手です。
ぼくは当時、長野五輪取材団の一員として、日本の女子が冬季で初めての金メダルに輝いた現場に居合わせました。
あのときメディアの関心は、初出場だった高校3年生・上村愛子選手に集中していて、2回目の五輪だった里谷選手のほうは、なんとなく2番手扱い。
そんな中での里谷選手のすべりは、まさに背筋がぞくぞくするような圧巻のパフォーマンス。ぼくは「私も忘れないでね」という彼女の意地みたいなものを、感じたような気がしました。
……という名場面が生まれたのが、長野市営の『飯綱高原スキー場』。
通常は普通のゲレンデとして運営されてきたものの、ついにこの冬いっぱいで営業を止めるといいます。
理由は、20年以上連続の赤字。
民間の引き取り手を探したものの、手を挙げる業者はいなかったそうです。
スキー場受難の時代
実は全国各地で、スキー場の閉鎖が相次いでいるようです。
ググってみたところ、そんな実情をいちばんわかりやすくまとめていたのは、ほかならぬはてなのブログでした。こちら。
筆者のozuriskiさん、プロフィール欄には特に何の記載もないのですが、スキー界の現状にものすごく詳しい方とお見受けします。
引用させていただくと……
スキー場の数は着々と確実に減っている。 18/19シーズン限りで群馬の大穴スキー場は廃止、北海道のかもい岳スキー場と鳥取の奥大山スキー場は休止、新潟のわかぶな高原スキー場は営業困難見通しとのこと。
スキー場の休止・廃止 - ozuriskiのブログ
まさに「スキー場受難の時代」といった感じです。
なぜ、こうなってしまったのか。
それを解くヒントが、「飯綱高原スキー場廃止へ」を伝えるヤフーニュースのコメント欄にありました。
こんな一言です。
スキーの盛衰は日本の活力と経済状況、そして余裕を示すバロメーターなのかもしれませんね。ひょっとしたら少子化にすら関係しているのかも、です。
そう。
高いお金をかけて用具とウェアを準備し、都会から遠く離れた「専用地」まで移動し、行った先でもリフトやら食事やら、これまたそれなりの費用がかかる……。
スキーって、どこか"バブルの残り香"が漂うんですよね。
わかりやすい例が、1987年の映画『私をスキーに連れてって』。
原作はホイチョイ・プロダクションズでした。まさに「バブルの申し子」と言えそうな制作会社ではありませんか。
観光庁が採り上げているデータによると、スキー・スノーボード人口は、ピーク時の1998年(偶然にも長野五輪があった年)は1800万人でした。しかし2017年には、およそ3分の1の620万人にまで減っています。
いまや、雪の降らないタイとか、季節が真逆のオーストラリアなどからの観光客だけが頼みの綱、というのが現状です。
さらに「雪不足」が…
これに追い討ちをかけているのが雪不足。
近年はほぼ毎シーズン、各地のスキー場になかなか雪が積もらず、「1月になっても"一部滑走可"状態が続く」という事態が起きています。
やはり、温暖化の影響ということになるんでしょうか。
特に今シーズンはひどく、ウェザーニュースの独自取材によると
去年(2019年)12月19日の時点で、オープンしているスキー場は全国98地点。前年同時期の6割程度だったそうです。
この暖冬傾向は、年が明けてからも変わっておらず……
雪不足はまだ続く可能性があるということです。
と、いうような厳しい条件の中、今わが家3人は、そろいもそろって初心者ながら、スキーに行く計画を立てています。
雪も少ないのに、なぜ今?
どんな手段でどこへ行くの?
そのあたり、近々当『小骨チェーサー』で詳らかにしようと思っています。
乞うご期待。