参拝の作法「二礼二拍手一礼」 実は守らなくてもOK
初詣、合格祈願、商売繁盛、安産祈願、七五三……。
何かにつけて神社へと足を運ぶのが、われわれ日本人というもの。
そのときの"作法"と言えば
「二礼二拍手一礼」
これ、ぼくは常識だと思っていたのですが、そうとばかりも言えないということを、つい最近知りました。
個人的にはけっこう驚きだったので、皆さんにもお知りおきいただきたいと思います。
みんな「二礼二拍手一礼」でお参りしているけど……
混雑を避け、松の内でもなるべく遅くなってから出かけるのが、わが家の初詣パターン。今年2020年も、1月5日に詣でました。
娘が生まれてからは例年、東京都杉並区にある『大宮八幡宮』にお参りしています。
明治神宮、靖国神社に次いで、東京で3番目に広い境内を誇る神社。
子育てを応援してくださる神様なので、うちは娘の初宮詣も七五三も、すべてこちらのお宮でお世話になりました。
おかげさまで大きな病気をすることもなく、元気に育っています。
さて、初詣。
一家3人横並びで、本殿に向かい二礼二拍手一礼。
ぼくらの後にお参りしていた妊婦さんとご主人のカップルも同じようにしていたので、「若い世代にもこの作法、知れ渡ってるんだな」と感じました。
1月3日付け朝日新聞朝刊の4コマ漫画にも、神社でののちゃんがお母さんに、「二礼二拍手一礼やで」と念を押されるシーンがあります。
実はかなり新しい作法
そのくらい"常識化"している「二礼二拍手一礼」。
当然、古来より受け継がれてきた由緒ある作法だと、ぼくは勝手に思い込んでいました。
ところが。
有名な(批判されることも多いのですが)宗教学者の島田裕巳さんによると
この作法、広く浸透したのはなんと平成になってからだというんです。
え~? たかだか30年程度ってこと?
そもそも作法は神社によってバラバラ
参拝の作法はそもそも、それぞれの地域やお社によってバラバラだったそうです。
しかし明治時代になって徐々に統一化が進み、ついに終戦後の1948年、「二礼二拍手一礼」のパターンを明文化。
ただ、神主さんなどの作法として定められたものだったようですから、それが一般の人びとにまで広がるのは平成時代までかかった、ということなんでしょうね。
こうして、今ではほとんどの神社が「二礼二拍手一礼」を採り入れていますが、一方で独自の形式にこだわっているところもあるんです。
その代表格が出雲大社で、そのパターンは二礼四拍手一礼。
さらに5月の例大祭のときは二礼八拍手一礼になるそうです。
あの出雲大社からして"規格外"なんですから、ぼくらも形式にとらわれることなく、自分が心をこめられる形でお参りすればいいのだと思います。
それが証拠に、東京都神社庁のホームページ
には、こう記されています。
私たちが神社にお参りする際の作法には厳格なきまりはありません。敬意の表し方は人それぞれですし、参拝の作法も神社や地域によって特色があります。
初詣はもう済ませた方がほとんどでしょうが、冒頭に書いた通り、何かにつけて神社へと足を運ぶのが、われわれ日本人というもの。
次に神社へお参りするときは、自己流もあり、ですよ。
次回の『小骨チェーサー』も、どうぞ読みにいらしてください。