グラウンドにテント? 運動会に出没する“自己中”な親たち
運動会シーズンも、最終コーナーに差し掛かりました。
この、学校生活最大級のイベントで見られる「対決の構図」ってな~んだ?
『紅組』vs『白組』? そりゃもちろんそうですけど、そういう爽やかなバトルじゃなく、もっと“冷戦”っぽいヤツ。それは……
『学校(園)』vs
『我が子ファーストの親たち』
- アジア某国出身の女性を困惑させた『運動会のお知らせ』とは
- 子どもが中学生くらいに成長すると、親の“非常識度”も成長する?
妻の知り合いのWさんは、アジア某国からやって来た女性。日本人のご主人との間に、保育園に通うお嬢さんがいます。
Wさんにとって妻は、日本語の先生的な立場。先日、保育園からの通知を持ってきて、「意味不明だから教えてほしい」と聞きに来ました。
なぜそんな朝早くから?
妻が見せられたのは『運動会のお知らせ』。その中の、Wさんが「わからない」と指をさした箇所には、こう書いてあったそうです。
「運動会は9時からですので、正門は7時に開けます」
妻がそう読んであげるとWさん、ちょっとホッとしたような顔を見せました。自分が読み取った日本語がとりあえず正しかったと知り、うれしかったのでしょう。
でも、彼女の疑問が解けたわけではありません。
「運動会が9時からなら、家族は8時45分くらいに行けば十分間に合うではないか。なぜ2時間も前に門を開けるのか」
さらにWさんを「?」とさせたのは、次の一文でした。
「門の前に、6時以前には絶対に並ばないでください」
こういうお達しが、今の日本ではすっかり当たり前になりましたね。
「撮影場所争奪戦阻止」のための“縛り”をかけておかないと、自ら志願してなのか、奥さんに命じられて嫌々でなのか、お父さんたち、状況次第では徹夜で並びます。
新型iPhone発売待ちの行列ならニュースにもなるけど、住宅街の真ん中にあるような幼稚園・保育園の門前に、深夜おじさんたちの行列ができたら、それは近所迷惑以外の何物でもありません。
Wさんの祖国の運動会は、きっとこんなことにはならないんでしょうね。
年に一度のイベントで気合の入った親たち同士が、メラメラと闘志を燃やす閉鎖的空間、グラウンドの一角に設けられた『撮影スペース』。
うちの子の小学校では『入れ替え制』を採っていました。
「次は2年生の玉入れです。撮影スペースの最前列は、2年生のご家族にお譲りください」みたいなアナウンスが競技の前に流れ、その都度交代するわけです。
ことほど左様に、運動会時の学校やPTAは何が大変って、ジコチューの観戦客対策と来賓議員のご接待。
でもまあ小学校くらいまでは親たちも、わりとおとなしく従っている気がします。
そのワケはぼくが予想するに、周りが全体的に隣近所の住人たちだから。
ご町内で普段顔を合わせかねない人たちを相手には、やはりコトを荒立てにくい。
仮に会社人間のお父さんが我を通そうとしても、そこはお母さんが気にします。変に目立ったおかげで、後々子どもがいじめにでも遭ったら取り返しがつきません。
中学校の運動会に登場した“秘密兵器”
ところが、複数の小学校区が集まり、『ご近所感』もそこそこ薄れる中学校の運動会となると、観戦客の“傍若無人度”はだいぶパワーアップする感じ。
競技そっちのけでおしゃべりに花を咲かせる親たちの脇では、いまや高校生となったOBOGたちが同窓会気分でスマホ三昧、なんて治外法権な光景が、校舎の裏で広がっていたりします。
傍若無人と言えば、近くの中学校では運動会のとき、キャンプ用のテントを持参して、グラウンドに張っちゃった親がいたそうです。
地面にペグ(杭)まで打ったということですから、けっこう本格的。
学校側にたしなめられ、さすがに撤収したらしい。当然です。
このテントの話、Wさんが聞いたらどう言うでしょう?
「あら、自分の子の競技がないときは、お休みできていいね」なんて、意外に言うのかもしれません。
所変われば常識も変わる可能性、ありますからね。