タケモトピアノCMの放映が終わらないために必要なこと
きのうのY!ニュース(元はNEWSポストセブン)で、『タケモトピアノ』のCMについて聞いた財津一郎さんのインタビューを読みました。
1997年以来「もっと、もっと、タケもっと」と、もう20年以上。ニュースサイトには、「あの財津さんをずっと見たい」というコメントもたくさん寄せられていました。
ですがそれを妨げるような、ある「ヒジョーに厳しい」現実があるようなんです。
それは、日本人の生活スタイルの変化に、大きく関わることでした。
「いつまでも62~3歳」の財津さん
「赤ちゃんに見せると泣きやむ」とか、「CMが埋まらない番組を助けてくれる」とか、エピソードには事欠かないタケモトピアノの名作CM。
おとといも『ポツンと一軒家』を見ていたら、合間に「電話してちょーだい」が流れ、「財津一郎さんって、今もお元気なのかなあ」なんて思ったところでした。
同じようなことを、週刊誌の記者も感じていたんでしょうね。
取材を受けた財津さんはいま85歳。脊柱管狭窄症を患い、一線からは退いておられるそうです。
それでも、打ち切られも作り変えられもせず、あのCMが放映され続けているのは、タケモトピアノの会長さんの意向だとか。
おかげで、タキシード姿の財津さんはいつまでも62~3歳、全身タイツ姿のお姉さんたちはいつまでも20代(?)のまま、タイムカプセル状態です。
海外で“第2の人生”を過ごすピアノたち
「ピアノ売ってちょーだい」と言う以上、ぼくはずっと、ピアノ版のブックオフみたいな会社を想像していたんですが、微妙に違うんですね、タケモトピアノ。
買い取って修理され、生まれ変わったピアノは、100%海外へ輸出されるそうです。
取材では財津さんは「ボランティアで東南アジアへ送り出す」と話していました。
ただ時代は、どんどん移ろっていきます。
ピアノと日本人の関係が変化
タケモトピアノはホームページで、1970~80年代の日本をこう表現しています。
「高度成長期、『ピアノが一家に一台』の時代」
「弾けなくても、ピアノが家にあるという家庭も多かった」
そうした家もしかし、財津さんによれば
「子供が独立した後は、ピアノが花瓶置きや本棚みたいになっちゃっていた」
大量に購入され、その後使われなくなったピアノがあふれた国、日本。
ここに、タケモトピアノのビジネスモデルが成立したわけですよね。
ところが、時代はさらにさらに進んでしまいます。
ピアノが売れない……
『浜松ピアノ店』という会社の社長さんが書いてらっしゃるのですが
アコースティックピアノの、日本国内での販売台数は、典型的な右下がり。
ホームページからグラフを引用させていただきます。
2017年の、ヤマハとカワイの売り上げの合計は、グランドピアノ・アップライトピアノ合わせて15985台。
これはその17年前、2000年の32%に過ぎません。
その代わり、デジタルピアノを買っていると考えられています。
一方中古のピアノは、毎年十数万台規模で、海外に輸出されているんだそうです。
中古は出て行くのに、新しいアコースティックピアノはそれほど供給されない……。
ということは、近い将来日本国内から、
「使われず放置されたまま」というピアノが、ほとんどなくなってしまう
という予測が成り立ちます。
そうなると、「ピアノ売ってちょーだい」という呼びかけは意味がなくなる。
そこが心配なんです。
「みんなま~るく」収まったまま、永遠に続いてほしいなと思います。