専門家が指摘「虐待の兆候」とは…子どもの命を守るために
新型コロナウイルスの爆発的感染と、それが持ってきた世界的な経済危機。
……というような話題は皆さんお書きになっているから、その陰でスポットが当たっていないことにスポットを当てます。
「虐待」
のことです。現在、注目事件の裁判が進行中。
家庭内での様子がだんだんはっきりしてくるにつれ、「あの子をなんとか救えなかったか」という気持ちが募ってきますよね。
そこで今回は、以前専門家の方に伺った
「こんな子を見かけたら、家での虐待を疑おう」
というポイントをお伝えします。
「小4女児虐待死事件」の裁判
先月裁判員裁判が始まったのは、千葉県野田市の当時小学4年生、栗原心愛(みあ)ちゃんが亡くなった事件。
父親の勇一郎被告(42)が、心愛ちゃんを暴行したり、食事を与えなかったり、冷たい水を浴びせたりといった虐待の末死に至らしめたとして、傷害致死などの罪に問われています。
検察側は「凄惨で非道で、拷問と表現してもいい程」の犯行だとして、
懲役18年を求刑。
一方弁護側は「教育が行き過ぎた」とし、傷害致死罪そのものは争わない戦術。
被告は虐待の理由について「心愛がやると言ったことを、最後までやらせようとした」
母親が心愛ちゃんへの暴行を証言していることについては、「うそ」などと主張しています。
「あんなにひどいことをしたのに、まだ言い訳をするのか」と、被告へ言いたくなる気持ちは当然。ネットニュースでも、その手のコメントが溢れています。
でも現時点では、それを控えるのが正しいオトナの姿勢。
ぼくらが勇一郎被告に抱くイメージは、「あいつは悪人だ」と思わせたい警察や検察が、マスコミを通じて広めた世論誘導かもしれません。
どんな凶悪犯でも、裁判が全部終わって刑が確定するまでは
「推定無罪」が原則。
今までたくさんの人が冤罪に泣かされてきたことを、頭の片隅に置いておきましょう。
「虐待」そのものは認めた被告
ただし裁判の中で勇一郎被告は、心愛ちゃんを虐待したこと自体は認めました。
となると、1つ大事なことが言えます。
心愛ちゃんを勇一郎被告から、どこかの段階でちゃんと引き離していれば、彼女は命を落とさずに済んだ、と言い切れるということ。
つまり周りの人々が、絶対になんとかするべきだったんです。
ふざけるな!行政
ここで思い出すのは、野田市のあきれた、ふざけた、どうしようもない対応。
心愛ちゃんは学校のアンケートに、
「お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか」
と書いています。そのコピーを市の教育委員会は、あろうことか勇一郎被告に渡してしまったんです。
これは大問題になりました。
虐待によって子どもが死亡する事件が起こるたびに、
行政のずさんさが、かなりの頻度数で明らかになります。
せっかく保護された子を、「虐待は解消された」と判断ミス、家に帰してしまう例は枚挙にいとまがない。
そのとき子どもは、どれほど絶望的な気持ちになっただろうか。
そしてはっきり言わせてもらうけど、全国の関係者には、
「虐待を防ぎきれていない」という自覚がまるで足りない。
先月も神戸市の児童相談所で、午前3時半ごろに「家を追い出された」と訴えてきた小学6年の女の子を、相談員が追い返すという問題が発生。
60代の男性相談員は「高校生に見えた。冗談だと思った」と話したそうですが、
何言ってんだ、このオッサン
って言いたくなりませんか。
ぼくらの手で、虐待されている子を救おう
この世になぜか存在するのが、我が子を痛めつけることに何の抵抗も覚えない、親の資格どころか、人間の資格すらないヤツら。
いや、違うな。
昆虫だって子どもを必死に守るんだから、「生物の資格さえない」と言うべきですね。
そういう親の元に生まれた子どもたちを、なんとしてでも笑顔にしてあげたい。
でも上述の通り、行政は申し訳ないけど頼りにならない。
だったら社会全体、ぼくら1人1人が守ってあげるしかありません。
「家庭」という、他人から見えないところで行われている虐待を見抜くにはどうしたらいいのか。
以前、児童相談所出身のカウンセラーの方が「虐待を受けている可能性が高い子の特徴」として挙げておられたことのうち、象徴的だったのは次の2点でした。
①給食を一心不乱に食べている子
これはもちろん、家で満足に食べさせてもらっていない可能性があるから。
虐待とは違いますが、かつて子どもを殺害した母親の容疑者の周辺を取材したとき、似たような話を聞き込んだ覚えがあります。
②夕方遅くまで、公園に1人でいる子
家にいたくない、帰りたくないからそうしている可能性あり。
お話を伺った専門家の方ご自身が、実際そういう子を見かけピンときて、児童虐待を発見したことがあるとおっしゃっていました。
こういう子たちに気づいたら、とりあえずは注意して観察。
そして疑わしかったら
「189」
に迷わず電話しましょう。全国一律の虐待ダイヤル。通話料はかかりません。
親に殺される子どもを見るのは、もう嫌だよ
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回の『小骨チェーサー』もぜひ読みにいらしてください。