小骨チェーサー

世の中を斜めから、でも前向きな目線で見るブログ

「人を感動させる文章」が生まれるために、必要なこと

「世の中って、意外といいところかもしれない」

 

そう思えるほど心を動かされる文章に、先日出会いました。

きょうは、その感動を皆さんにおすそ分けしたくて書いています。

「人の褌で相撲」ならぬ、

「他人の文章で1本」仕上げるようで、少々後ろめたいのですが。

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2009年8月 Amazonのレビュー

その文章とは、本の一節でも広告の文言でもなく、一般の方が書いたAmazonの商品レビュー

と聞くと、「ああ、あれね」とピンとくる方、いらっしゃるかもしれません。

心打たれる人は多いようで、この文章のはてなブックマークへのエントリーは、確認できただけでも8件。

とはいえ、ご存じない方だって大勢いらっしゃるでしょうから、採り上げさせていただきます。

※途中を略していますが、文字使いなどは原文ママ

 

 

SANYO ICレコダーICR-RS110MFは優れもの

 

SANYO の IC レコーダーは優れものである。

【中略】

私は、家内が脳内出血の後遺症で半身不随となり、病院でベッド生活をしている。初夏には近くの山でウグイスの鳴き声を録音してイヤホンで聞かせた。最近は病院の許可を得てスピーカー(クレードル)を枕元に置けるようになったので、専ら音楽を聞かせている。

 

IC レコーダを2台購入し、1台は自宅においてFMのタイマー録音、CDのコピイ、編集したマイクロSDの作成に使い、もう1台を家内の枕元に置き、家内の注文に応じてマイクロSDを差し替え聴かせている。操作は彼女は出来ないので、彼女の注文を聞いて私が鳴らす。注文を聞く、鳴らす、感想を聞く所にお互いの情報交流ができ、彼女の脳の活性化が著しく進んでいる。

先日はスリープ・タイマーを入れ忘れて、NHKラジオの日曜日朝の50分番組「音楽の泉」の8回分を連続で一晩中鳴らした。幸い、看護婦さんには怒られず、家内は次々と思いがけない曲が聴けて、こんなに楽しいことはなかったとのことだった。

【以下略】

 

全文はこちら→  https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RNZKSHX0F36T?ref=pf_vv_at_pdctrvw_srp

 

ネットリテラシー上全文は載せられないので、雰囲気が伝わりづらいかもしれません。

それでも、原文の持つ味がおわかりいただけるでしょう。

 

ググってみると、「人の感情を刺激する名文の例」として、この投稿を採り上げる人もいる。

あるいは、商品のレビューであることから、アフィリエイトの文章のお手本とみなす人もいます。

 

ぼくは割と素直に、

「これほど読んだ人を優しい気持ちにしてくれる文章は、見たことないな」

と思いました。

 

コメントした人たちも温かい

心動かされるのは、レビューそのものだけではありません。

寄せられたコメントは31件。

全部読みました。いくつかピックアップしてみます。

 

  • なんと深みのある、魅力的なコメントでしょうか!ヤスさんご夫妻、今も元気でしょうか…。
  • 涙の出る商品レビューなんて初めてです。
    商品の利点もよく分かる上に、こんなに心温まるなんて…。
  • 何もかもが嫌になりくじけそうでしたが、勇気と感動をいただきました。

 

ネット上に投じられるコメントって、口汚いものが多いというか、心が荒むようなのが本当に目立ちますよね。

でもそういうのが、このレビューに寄せられたコメントには1つもない。

皆が皆、心を洗われたような気持ちになっています。

 

それをもたらしたのは、投稿者である、82歳(当時)の北川泰弘さんのライティングテクニックだとか、そういうものではありません

入手したICレコーダーへの信頼感、そして何より、奥様へ向ける優しい思いから出てきたもの。

ぼくも年を取ったとき、妻へこんな風に接することができるだろうか。

 

ちなみに、なんと3068人もの人が、「このレビューが役に立った」と考えています。

 

心ざわつくことが多い、きょうこの頃。

読んでくださった皆さんが

「よし、きょうもがんばろう!」

という気持ちになってくださったらいいなと思って書きました。

 

次回の『小骨チェーサー』も、ぜひ読みにいらしてください。