デマでも「トイレットペーパー不足」が解消しない納得のワケ
新型コロナウイルス感染の広がりに端を発した、チョ~迷惑な"副産物"
マスク不足 と トイレットペーパー不足
マスクのほうはある意味仕方ないところもありますよね。花粉の時季とも重なり、本当に需要が拡大したんだから。ただ「転売ヤー」のヤツらに天罰さえ下ればいい。
でもトイレットペーパーはねえ……。元はデマだとわかったのに、いまだ手に入れにくい状態が継続中なのはなぜなんだ?
そのワケについて、ぼくにはある学者さんの説明が「目から鱗モノ」だったので、それを今回はご紹介します。
「デマを信じた人が買い占めるといけないから……」
「ダイヤモンド・オンライン」に寄稿されていました。
塚崎先生は、どんなに厳しい局面でも必ず"安心材料"を見つけて解説する、「いつでも楽観論」の経済学者。
ぼくもお会いしたことがありますが、お話は面白いし、こちらが恐縮するぐらい気配りをしてくださるお人柄。「紳士」を絵に描いたような方です。
前回のブログで、「メディアが出演や取材をお願いしやすい専門家」の条件を挙げましたが⇩
塚崎先生は「①お話が短くわかりやすい」と「③温厚」という条件を、完璧に満たしておられます。
さて、トイレットペーパー不足の問題。
事の始まりは「デマ」でしたから、ぼくも先日「デマを見破るコツ」を採り上げたばかりでした⇩
しかしデマとわかった今もなぜ、トイレットペーパーは品薄なのか。
塚崎先生の分析をぼくなりにかみ砕いて、大胆にもフローチャートにしてみました。
こんな感じ⇩
- 「近くトイレットペーパーが不足」とのデマを信じた人たちが、我先にと買い占める
⇩ - 不足する
⇩ - 補充される
⇩ - 「デマを真に受けたバカがまた買い占めるといけないから、あるうちに買っとこう」と思った人たちが買う
⇩ - 不足する
⇩ - 補充される
⇩ - 「1週間分のストックはあるけど2週間は微妙だから、あるうちに買っとこう」と思った人たちが買う
⇩ - 不足する
⇩ - 補充される
⇩ - 「2週間分のストックはあるけど1ヵ月間は微妙だから……」
⇩ - 以下同文。いたちごっこは続く。
ということで塚崎先生は、政府にこんな苦言を呈してらっしゃいます。
自分の後ろに長い列ができている時、棚に残った2週間分のトイレットペーパーを全部買うのは、倫理観には反するかもしれないが、経済的には完全に合理的な行動である。
そうだとすれば、「在庫は十分あるから冷静に」というのではなく、「少ない在庫を買い占めるようなひどいことはしないで」と呼びかけるべきではなかろうか。
日本人の「美徳」はどこへ?
ここで思ったのは、
「日本人って、どんなにピンチのときでも秩序を守る、誇り高き民族だったはずでは」
ということ。
東日本大震災の避難所で支援物資が配られたときも、奪い合いなどにはならず、長い列にじっと並んでいた
とか
サッカーW杯で日本サポーターは、敗れても暴れたりせず、しかもスタジアムをきれいに掃除して立ち去った
とか。
海外でそんな報道がされていると報道されて、ちょっと鼻が高くありませんでしたか。
あれは、どこへ行ったんだ?
災害が発生しているわけではないけれど、「緊急事態」数歩手前の今。
やることなすことすべて後手後手の政府は、なんせまるで頼りにならないのだから、せめてぼくら自身が気を付けて、みんなで協力するようにしなきゃ。
「国民総倒れ」になど、間違ってもならないように。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次の『小骨チェーサー』も、ぜひ読みにいらしてください。