小骨チェーサー

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【米大統領選】ブルームバーグ氏出馬が、日本人にも大歓迎だと考えるワケ

マイケル・ブルームバーグ氏(77)が、来年のアメリカ大統領選に名乗りをあげました。

しょせん、他の国のニュース……そう思われる方も多いでしょう。

でもこれ、他人事ではなく、日本人にとっては大歓迎すべきことだと、ぼくは思っているんです。

概要

  • トランプ氏が大統領を2期目もやったら、日本も世界もますます混迷する
  • でも米国内的には安泰。トランプ氏の再選を阻む大きな要素は見当たらない
  • 再選阻止のためには、民主党から「カリスマ」が出てこなければならない
  • ブルームバーグ氏は、その「カリスマ」になれる可能性がある

というようなことを、池上彰さん目指して、できるだけわかりやすく説明します。

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米国がくしゃみをすれば風邪をひく国、ニッポン

一般的に言って、他の国のリーダーがどういう人物だろうと、自分の生活にはほとんど関係ありませんよね。

でも、アメリカの大統領だけは別。

なんせ"世界のガキ大将"みたいな国。国際的な方向性が、あそこのリーダーの意向で決まっちゃう。

 

それに日本って国は、「米従属」が国是(皮肉ですよ)。国防だって貿易だってアメリカの顔色を見ながらです。

ニューヨークのダウ平均が、翌日の日経平均に跳ね返ってくるのはご承知の通り。

 

あの男がさらに4年?

そのアメリカの大統領は、言わずと知れたドナルド・トランプ氏(73)。就任してからの3年で、世界をホントめちゃくちゃにしてきました。

パリ協定から離脱、TPPからも離脱。自国の大使館をエルサレムに強硬移転させるわ、北朝鮮との対話は行き当たりばったりだわ。

アメリカ・ファースト」と言えば聞こえはいいけど、要は"自己中"ってことですからね。とにかくやらんでいいことばかりやってきた印象です。

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トランプ大統領就任当日のワシントンDC

 

彼が2021年からさらに4年間大統領を務めたら、世界はますますひどくなっちゃう。

日本にだって、この先どういう理不尽な要求を突き付けてくるかわかったもんじゃありません。気分屋ですからね。

だから

トランプ大統領にはなんとか、1期で終わってもらいたい

ぼくは本気でそう思っています。

ていうか、ぶっちゃけ、トランプ氏でなければ誰でもいいです(チョー語弊あり)。

 

安定している米国と、トランプ支持者

ところがトランプ大統領には、実はマイナス要素が意外とありません

↓の記事でもちょっと触れたのですが

kobone-chaser.hatenablog.com

 

今のアメリカ、株価は最高値をしょっちゅう更新するし、失業率も歴史的に低い。「大規模な戦争をしていないのも、トランプ氏に有利」という分析もあります。

そして大統領、「中国などの低賃金国から、仕事を奪い返す」みたいなセリフをズバズバ言うから、いわゆる「ラストベルト」の有権者に受けがいい

懇意にしている方で、アメリカの現地をたびたび訪れては、トランプ氏の支持者集会を観察している研究者がいます。彼によると、大統領の支持者は熱狂的で、夜19時から始まる集会でも、朝の8時ごろには、すでに入場待ちの行列ができるそうです。

 

一方でご存じのように、トランプ氏には大きな弱点があるのも、これまた事実。

選挙不正や不倫などのスキャンダル、女性や弱者への差別的姿勢、世論の分断をあおる暴言……。こういう"人間性"、一国のリーダーとして倫理的にひどいものではあるんですが……

問題はアメリカの有権者がどう判断するか。

「生活」と「倫理」を天秤にかけたら、普通は「生活」のほうを取っちゃうんじゃないかな。ここが、他国の選挙を見ていて歯がゆいところです。

だからトランプ大統領再選阻止のためには、アメリカの有権者を納得させられるだけの、強力な対抗馬が必要なんです。

 

民主党の有力候補者は?

夏季五輪イヤーの11月に行われるアメリカ大統領選の本番は、たいてい共和党民主党の候補者の一騎打ちです(ときどき例外あり)。

民主党は来年7月まで、「予備選」や「党大会」を繰り返して候補者を1人に絞ります。日本のプロ野球になぞらえれば、民主党の中で"ペナントレース"を戦い、"優勝"した1人が、トランプ氏と"日本シリーズ"を戦うわけです(かえってわかりにくい?)。

 

現時点(2019年11月27日)で、民主党の候補者指名争いには18人が参戦しています。このうち「有力」とされているのは、↓の3人。

ここで忘れちゃいけないのは、選ばれるのは1人だけ、という点。つまり民主党を支持している有権者は、元々推していた候補とは別の人に、本選で投票する必要が生じる可能性もあるわけです。民主党側が一枚岩にならないと、共和党トランプ大統領には勝てません。

ところが。

サンダース氏とウォーレン氏は、主張や政策がリベラル(急進的)すぎると言われています。2人のどちらかがトランプ氏と争う場合、元々バイデン氏を推していた民主党の支持者が、サンダース氏やウォーレン氏に投票してくれるかどうか。

一方のバイデン氏、最有力と言われながら、過去の失言やら息子のスキャンダルやらで失速気味な上、人気がイマイチらしい。前出の研究者が、バイデン支持者集会にも顔を出したところ、けっこう空席があり、熱狂の度合いも、トランプ氏とは比べものにならないほど低かったそうです。

選挙で大きくモノを言うのは「熱」。民主党の候補が3人の誰になっても、"カリスマ性"の部分で、トランプ氏に及ばなさそうなんですね。

 

ブルームバーグ氏なら……

そこに出てきたブルームバーグ氏。アメリカ国民を引き付ける魅力はどうか。

 

投資をやっている人には釈迦に説法ですが、金融情報会社ブルームバーグの創設者にして、それで財を成した億万長者

その後ニューヨーク市長を3期12年。9.11を乗り切ったのは前任のジュリアーニ氏だけど、「危険」「おっかなくて歩けない」なんて言われようだったあのニューヨークを、少なくとも安心して地下鉄に乗れるくらいの都市に変貌させたのは、ブルームバーグ氏の功績です。

一国を率いるリーダーとしてのカリスマ性は、十分ありそうに見えます。

 

ポイントがもう1つ。

トランプ氏に有利な条件として先ほど、経済の安定性を挙げました。でもこの点、ブルームバーグ氏だって全然引けをとらない。何と言っても、ウォール街情報発信源の親分ですから。

 

そんなこんなで、トランプ大統領に土をつけるだけの強みは、上の3人よりあると思うわけです。

だから、この人の出馬表明は大歓迎できると考えています。

 

それにしても、本当にトランプ対ブルームバーグって構図になったら……。

なんかアメリカ大統領選って、単に大金持ちの道楽みたいだな。