東京五輪「2年延期論」が"名案”だと思うワケ
「現実的なのは、開催を1~2年延期すること」
東京五輪・パラ組織委員会の理事が、「新型コロナウイルス拡大で、この夏のオリンピック開催が難しくなったら」のこととして発言したものです。
3.11の当日でなければ、もっと大きなニュースになっていたであろう爆弾発言。
組織委の会長・森喜朗元総理も「火消し」に躍起です。そりゃそうでしょうねえ。
でもぼくは、これを真剣に検討してみてもいいんじゃないかと思っています。
理由は、それこそコロナでボロボロになった日本経済です。
「五輪延期」論の中身
"トンデモ発言"をしたのは、組織委の高橋治之理事。元電通の専務で、オリンピックなど国際的なスポーツビジネスに精通している方だそうです。
アメリカの経済高級紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の取材に答えました。
趣旨は、
「新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪を中止、または無観客開催するのは、経済的損失があまりに大きい。といって1年未満の延期は、アメリカの各プロスポーツや、ヨーロッパサッカーの日程と重なる」
というもの。
とはいえ来夏はスポーツイベントのスケジュールがおおむね固まっているため、「延期の場合は2年後のほうが調整しやすい」という考えを示したといいます。
そうなったらすごいですねえ、2022年。
冬のオリンピックがあって
夏のオリンピックがあって
サッカーのW杯がある
うっわ~!
「五輪延期」日本経済のためには歓迎?
日本経済のことを考えてみると、東京五輪が
2年延期されたら「助かる」
ってことはありませんか。
コロナのせいで、学校は休校、働くお母さんたちも休職を余儀なくされています。
イベントは何もかも中止(センバツやコンサートなど)
または延期(プロ野球やJリーグなど)
もしくは無観客(大相撲など)。
外国人観光客は激減し、ホテルなどはどこもガラガラだと聞きます。
日本経済はボロボロです。
ここで、東京五輪・パラを予定通りの日程で開催したとします。
元々、「今の景気はオリンピックまで」と言われているわけです。
”祭が閉幕”すれば、コロナに痛めつけられた日本経済、弱り目にたたり目というか、泣きっ面に蜂というか、どん底まで落ちてしまわないのかと心配になります。
だったらここは、「祭」そのものをまる2年先延ばしすれば、
"コロナ危機"から回復するリハビリ期間
を、日本経済に与えてやることができませんか。
2年あれば、いろいろな展開が可能です。
チョー突貫工事でこしらえた新国立競技場だって、その他の競技施設だって、すみずみまで配慮の行き届いたものにできます。
個人的には、ハコモノで経済を潤すというやり方は嫌いですが、今のピンチを切り抜けるためには目をつぶらざるを得ない。
以上、シロートの見立てなので自信はありませんが、株とか経済の方面に詳しいはてなブロガーの皆さん、いかがですか?
「五輪延期」なら影響半端なし
ただし本当に延期されたら……いやあ、どうなっちゃうんだろう?
幸運にもチケットを入手できた人は、その権利を2年持ち越しってことになるんでしょうけど、引越その他で手放さなくてはならない人も多いかもしれません。
ホテルとか都内の交通規制とかは、マルッと予定組み直し。
各競技の会場も、改めて予約をし直す必要が出てきます。
選手村跡地のタワーマンションを購入した人は、2年間の仮住まいを探さなくてはいけません。
選手選考も頭の痛い問題。
競技によっては代表が内定し始めていますが、
そのままで2年後も戦えるかどうか。
選手生命にとって「2年」は大きい。引退間近の人もいるでしょうし、ピークを過ぎてしまう選手も出るでしょう。
男女のマラソンなど、すごく劇的、かつ、日本中が納得できるような展開で代表が決まりましたが、今後日本新記録が出たらどうする?
MGCをもう1度やるのかな。
そして。「2年延期」をいちばん嫌がるのは、いろんなオジサンたちだと思います。
組織委の森会長は現在82歳。
7月生まれだから、2022年夏の開催だと85歳になります。
その年齢まで激務をしていただくのは忍びない。
しかし最近は1場所おきに休場、力士としてはどう見ても下り坂。
あと2年も綱を張り続けるのは、世間も横審も許さないでしょうね。
そしてそして、安倍総理。そもそも招致のときから
「フクイチの汚染水は完全にアンダーコントロール」
なんて大見栄を張ったりして、オリンピックへの思い入れが強い。
任期は2021年の9月までです。どうする自民党? また党則を改正する?
カードを持つのはIOC
突然飛び出した高橋理事の爆弾発言に、怒り心頭の森会長。
「(IOC会長の)バッハさんが『火に油を注ぐようなことはやめてほしい』とおっしゃっていたが、私に言わせれば『ガソリンをぶち込むようなことは、高橋さん、やめなさいよ』ということだ」と話しました。
高橋理事も「口が滑った」と謝罪したそうで、この話、とりあえずは収まった形です。
ただしオリンピックにおいては、大事なことの決定権は
組織委よりもIOCのほうが大。
バッハ会長も現時点では「日程変更などない」という態度みたいですが、あの組織
マラソン会場をいきなり鶴の一声で、札幌へ持ってっちゃった人たちだからなあ……
今回だってIOCは、突然何を言い出すかわかったもんじゃない。
五輪延期の「心の準備」だけは
しておいたほうがいい……のかな?
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回の『小骨チェーサー』もぜひ読みにいらしてください。